自己借地権というのは、土地所有者が、自己を借地権者として設定する借地権のことをいいます。 自己借地権は、借地権付マンションの分譲などの場合に役立てられます。
土地所有者が区分所有建物を建ててこれを分譲する場合には、従来ですと、民法の混同の原則によって、土地所有者は自らのために借地権を設定することはできませんでした。 しかしながら、借地借家法の制定(平成4年に施行)によって、自己借地権が新設され、これが可能になりました。
借地借家法では、マンションの敷地権のように、他の者と共に有するときに限り、借地権設定者が自らその借地権を有することを妨げないとしています。 そして、準共有となる場合にのみ自己借地権が認められ、また、借地権が借地権設定者に帰した場合であっても、他の者と準共有となるときは、その借地権は消滅しないものとされています。 よって、土地所有者は、最初の買主が現れた時点で、その者と自己とを借地権者とする順地権を設定し、自己の準共有部分を順次譲渡することができることとなりました。